植物生育調整剤

植物の生育調整剤についての基礎知識

植物には肥料とは違い、その育成を調整するための薬剤があります。では、その植物の育成調整剤とはどのようなものなのでしょうか。

基礎的な植物の育成調整剤に関する概要と、その種類、メリットやデメリットについて解説していきます。

植物の育成調整剤とは何か

植物の成長をコントロールするための薬

植物の育成調整剤は、簡単に言うと植物の成長をコントロールするために用いるものです。成長を促進する物と、逆に成長を抑制するものもあります。用途に応じて、適切な育成調整剤が用いられるのです。

育成調整剤の中には、植物自体が作り出すホルモン、いわゆる植物ホルモンの効果に作用する成分が含まれています。この成分は、植物に合わせて様々なものが用いられます。ですので、植物の育成調整剤には非常に多くの種類があります。

通常の育て方をしていたのではコントロールが難しい、植物の育成。その自由なコントロールを可能にしてくれるのが、この育成調整剤だと言えるでしょう。

品質を高めるために必要

育成調整剤を用いる理由は、植物の品質を高めることが目的です。一般的な育成方法をしていたのでは、高品質な植物を成長させるのは困難ですが、育成調整剤を用いればそれが容易になります。

例えば、果実を育てるのであれば、成長促進のために育成調整剤を用います。そうすれば、果実は大きく味も良くなります。また、芝生など伸びすぎると邪魔になる植物については、成長を抑制するために育成調整剤を用います。

このように、植物の品質を高める上で、育成調整剤の活用は欠かせない要素となっているのです。

植物育成調整剤の種類

水稲、果樹、園芸用などがある

植物育成調整剤には、幾つかの種類があります。分類の仕方にもよりますが、効能を大きな括りで分けるとすれば、植物の成長を育成する薬剤と成長を抑制する薬剤になります。

また、その効能がある植物の種類で分けるとすれば、米などが含まれる水稲用のもの、実成る木に効果がある果樹用のもの、草類や花類などに使える園芸用のものに分けられます。ただし、これらに分類されない植物育成調整剤もありますので、注意しておきましょう。

育成調整剤を用いる際は、これら効果のある種類を適切に見極めることが必須です。間違えて使用しても、効果が無いか、もしくは悪い効果が出るようになります。

植物によって多彩な種類が用意されている

市販されている植物育成調整剤は単純に分類できるものではありません。たとえ果樹の成長を促進できるタイプのものであったとしても、柑橘類に適しているとか、メロンの育成に適しているなど、薬剤には細かな適正が存在しているからです。

この適正は、植物の種類によって変わります。植物によってこれだけ多彩な種類が用意されていますので、育成調整剤は効果があると注意書きに書かれている種類の植物に対して使用しましょう。

また、同じ効果を持つ育成調整剤でも、メーカーによって効果が変わります。その点にも留意しておきましょう。

植物育成調整剤のメリットとデメリット

メリットについて

植物育成調整剤には、それを使うことによって得られるメリットと、逆にリスクとなるデメリットがあります。

まずメリットの点からご紹介いたしましょう。植物育成調整剤のメリットとしては、前項までにも文章の中に出てきていますが、植物の成長をコントロールできるという点が挙げられます。

また、成長を促進するという点からは、収穫期間を短くすることや育成期間を短くして植物の管理費用を減らせるというメリットも派生します。そのため、経済的なコストの面にも、植物育成調整剤は効果をもたらしてくれるのです。

デメリットについて

では、植物育成調整剤のデメリットとはどのようなものでしょうか。

そのデメリットとしては、取り扱いを間違えると植物に大きなダメージを与えてしまう危険性があることが挙げられます。植物育成調整剤は、農薬に分類されます。ですので、植物そのものに対して大きな影響力を持ちます

育成調整剤が適切に使用できていれば理想的な効果を得られますが、使用方法を誤ってしまうと、成長が止まってしまったり果実がつかなかったりと、大きなダメージを受ける可能性を含んでいます。

このようなデメリットのため、使用には多少の知識が必要ですし、取り扱いには十分に注意しなければなりません。

まとめ

植物育成調整剤の概要や、その種類、そしてメリットやデメリットについて紹介させていただきました。

植物育成調整剤は、理想的な植物の成長を実現します。ですので、デメリットに配慮しながら、上手に利用しましょう。

肥料について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

せっかく植物を育成しても、害虫や動物に荒らされてはたまりません。

アブラムシの駆除や対策まとめ

家庭菜園やガーデニングの害虫対策まとめ

意外に使う人も多い?ネズミを駆除する薬剤

肥料

有機肥料と化成肥料の違い:メリットとデメリットまとめ

肥料には大きな枠で分類すると、有機肥料と化成肥料の二つが存在しています。そしてこの二つには、それぞれにメリットとデメリットがあります。

それでは、有機肥料と化成肥料の違いや、メリットとデメリットとはどのようなことが挙げられるのでしょうか。それらをまとめてみましたので、ご覧ください。

有機肥料のメリットとデメリット

メリット

有機肥料は、植物や動物などの有機物を原料にして作られている肥料です。

有機肥料のメリットは

持続的に植物が栄養吸収できる
土の中の微生物の栄養にもなる
土壌改良(土が水分や養分を吸収しやすくなる)を行える

以上が代表的なものとなります。

有機肥料は、有機物を用いていることから、自然に植物の成長を促進できるということが良い点になります。

デメリット

有機肥料には、良い点もありますが、それに反してデメリットも存在してます。

有機肥料のデメリットは

効果が出るまでに時間がかかる
含有されている栄養素の量が細かくわからない
コスト面で化成肥料より高い傾向がある

などが挙げられます。

有機肥料は自然な育て方ができる反面、上記のような時間的、労力的、コスト的な面でのデメリットが存在しています。

化成肥料のメリット・デメリット

メリット

化成肥料は、有機肥料とは違って有機物を使用していません。空気中の元素や、鉱物などの無機物を使って人工的に作り出した肥料になります。

そんな化成肥料のメリットとして挙げられるのが、

水に溶けて効果が早く出る
明確な成分量が含まれているので使いやすい
取り扱いの労力が少なくて済む

などです。

有機肥料に比べて、即効性や成分量などがしっかりと統一されていることが、化成肥料のメリットです。そしてこれらのメリットは、有機肥料のデメリットの多くを補える傾向があります。

デメリット

有機肥料にデメリットがあるように、化成肥料にもデメリットはあります。

化成肥料のデメリットとしては、

使いすぎることで植物に悪影響が出る
土の品質を良くする(土壌改良)ことができない
化成肥料のみを使用すると、土の柔らかさが無くなる

などが代表的なものとなります。

化成肥料のデメリットは、有機肥料で補うことができる傾向があります。そのため、有機肥料と化成肥料はうまく配合したり、使い分けたりすることが大切になってきます。

肥料は土作りに関係している

品質の良い土とは

農作物や植物を育てる際には、土作りが重要であると言われています。これは、土の養分を吸収して植物が育ったり、土の性質によって植物が水を多く得たりできるからです。そして良い土は、肥料で作ることができます。肥料と土作りの関係性の前に、一般的に言われている品質の良い土について考えてみましょう。

良い土は、保水力があること、さらに水はけも良いこと、そして多くの栄養素を含んでいる、という三要素が挙げられます。このような土になる条件として、pH値が適正であったり、余分な土の混ざりが少ない、養分を作る微生物が多いなどがあります。

以上のような条件を充し、良い土にする上で、肥料はとても使えるアイテムとなります。

肥料で良い土を作るメカニズム

良い土は自然にも多く溢れています。ですが、自然の良い土を手に入れられないこともあるでしょう。また、一度作物を育てた土を再び良い土にしたりする必要も出てきます。そのような場合、肥料を使って良い土を作ります。

肥料の中には、植物が育つために必要となる窒素、リン酸、カリウムが含まれます。そして、有機肥料であれば、土の中の微生物が育ったり、土が柔らかくなったりする特性があります。これらをうまく土に配合すれば、人工的に良い土を作ることができるのです。

自分で肥料の一つである堆肥を作ることもできますが、枯葉や枯れ草、石灰などを用いて、数ヶ月土を寝かさなければなりません。肥料は、その大きな労力を軽減してくれる、優れた製品です。

まとめ

有機肥料と化成肥料には、それぞれにメリットとデメリットがあります。そして、基本的に有機肥料と化成肥料のメリットは、お互いのデメリットを補うような働きをしてくれます。そのため、二つの肥料の使い分けが、良い土作りや、良い農作物の育成には欠かせないポイントです。

植物にとって重要な土作りは、二つの肥料を上手に使うことで可能です。二つの肥料のメリットとデメリットを熟知した上で、効率の良い土作りを行うようにしてください。

さらに幅広く肥料全体についてもまとめています。→肥料の種類と効果まとめ

畑の肥料

肥料の種類と効果まとめ

植物を育てるために欠かせないのが、肥料です。肥料によって植物は様々な恩恵を受け、成長をしてくれます。

さて、そんな肥料にも、種類があります。そしてその種類によって効果も違ってきます。その肥料の種類と効果についてまとめてみました。

肥料の種類について

大きく分けると有機肥料と化学肥料の二種類

植物を育てるための肥料には、いくつもの種類が存在しています。ですが、それらの肥料も大きく分けると、二つの種類に集約されます。その二つであるのが、有機肥料と化学肥料です。

有機肥料と化学肥料の違いについては、有機物でできているか化学的な工程を用いて作られたかという点で差があります。有機肥料の場合、植物や動物など有機的な原料を用いて作られます。その点で、化学肥料は、無機質と呼ばれる鉱物や窒素などを用いて作られます。

一般的に売られている肥料は、必ずどちらかに分けられます。よくチェックしてみましょう。

肥料の効果の違い

有機肥料と化学肥料は、その製法や成分が違っていることから、効果についても違いが出てきます。

まず有機肥料の効果としては、土に混ぜることで時間をかけて徐々に植物に良い影響が出ることが特徴的です。これは、有機肥料が植物の根から取り込まれることが理由になります。

逆に化学肥料については、水に溶かすことができる肥料が多いです。そのため、すぐに植物が吸収をしてくれるため、効果もすぐに出てきます。比較的簡単に取り扱いができるのが、特徴です。

肥料には、以上のような効果の違いも存在しています。

肥料の三要素と呼ばれる成分について

肥料の三要素とは何か

肥料には必ず含まれている、基本となる三要素が存在しています。そしてその要素とは、窒素・リン酸・カリウムです。

なぜこの三要素が必要になるのかというと、植物を大きく成長させる働きをしたり、果実を大きくしたり、根を太くしたりする働きがあります。以上のように、肥料の三要素が含まれていることによって、植物は効率的に成長するのです。

これらの三大要素は、土にも含まれています。しかし、しっかりと養分を含んだ土でなければ植物が理想的な状態まで育つには不十分なことが多いです。ですので、肥料によってそれを補ってやることが必要となります。

三要素の過剰供給

肥料には欠かせない三要素ですが、過ぎたるは及ばざるが如しということわざがあるように、過剰供給をしてしまうと問題が発生することがあります。

まず窒素の過剰供給は、植物が病気にかかったり、実の成りが悪かったりします。カリウムの過剰供給は、同じく病気を誘発したり、葉や茎が黄色くなったり壊死するなどの症状がでます。リン酸については、土壌の微生物が増えるデメリットがあります。

これらの点から、三要素も供給し過ぎてしまうと逆にマイナスになってしまいます。適度な量をあげるのが重要なポイントです。

肥料がもたらす効果について

植物の成長を促進してくれる

肥料の主な効果としては、植物の成長を促進させてくれることが代表的です。この成長効果をもたらしてくれるのが、前項で紹介をした肥料の中に含まれている三要素になります。

三要素には、それぞれ成長をさせる部分の違いがあり、窒素は葉っぱ、リン酸は実、カリウムは茎や根に対応しています。そのため、植物や大きく成長させたい部位に応じて、三要素の配合を調整した肥料を用いるのです。

植物は土からこれらの栄養素を得ますが、不足しがちな部分を、肥料によって補うのが一般的な使い方です。

三要素の吸収を促進する効果も

肥料には先述した三要素が含まれていますが、含まれている成分はこの三要素だけではありません。その他の、多くの要素が含まれているものが多いです。

三要素以外の栄養が肥料に含まれている理由としては、三要素の吸収を促進する効果を持たせる意味合いなどがあります。そのため、うまく配合された肥料は、より効果的な植物の成長効果を持つことになります。

植物を成長させる効果、そしてその効果をより高める補助作用の二つが、肥料によってもたらされます。このようにうまく配合された肥料によって、植物の成長は円滑に行うことができるのです。

まとめ

肥料というと、単に植物の栄養分としか認識していないかもしれません。しかし、蓋を開いてみると、肥料にはこのような秘密や効果などがあります。

ガーデニングや植物の栽培、農作物を育てることを考えているのであれば、肥料についてしっかりと知識をつけておく必要があります。そして肥料を有効に使用して、効率よく植物を育てていきましょう。

有機肥料と化成肥料について詳しく解説しています。→有機肥料と化成肥料の違い:メリットとデメリットまとめ